強力なビジネスケースを作れ
著者: イ・ジュウソフトウェア・アーキテクトとして、アーキテクチャー・プロジェクトの資金獲得に困ったことはありませんか。アーキテクトからすれば、ソフトウェア・アーキテクチャーを設計するメリットは明らかですが、多くの利害関係者には絵空事のように聞こえるようです。群集心理学によれば、ほとんどの人々にとって「百聞は一見にしかず」は強い信念になっているそうです。しかし、プロジェクトの初期段階では、利害関係者にソフトウェア・アーキテクチャーの価値を確信させられるようなまともな材料はほとんどありません。ソフトウェア以外の業積の企業では、大半の関係者がソフトウェア工学の知識を持たないため、この問題はさらに深刻になります。
群集心理学によれば、ほとんどの人々にとって「認識が現実」です。そのため利害関係者たちが、あなたの提案するアーキテクチャーアプローチをどのように認識するかコントロールできれば、彼らの反応もコントロールできるということになります。では、どうすれば利害関係者の認識をコントロールできるのでしょうか。アーキテクチャーに合う強力なビジネスケースを用意するのです。あなたのアイデアに予算を付ける権限を持っている人々は、ほとんどかならずビジネスによって動きます。
私は、アーキテクチャーによるアプローチをうまく売り込むために、次の5段階をたどって強力なビジネスケースを作るということを何度も繰り返ししてきました。
- バリュー・プロポジションを明確にする。バリュー・プロポジションとは、その会社のビジネスのもとであなたのソフトウェアアーキテクチャーが必要とされる理由を、経営者の視点でまとめたものです。ここで大切なのは、あなたのアーキテクチャーアプローチを既存のソリューションやその他の選択肢と比較することです。比較で強調すべきは、技術的な優秀性ではなく、ビジネスの生産性や効率を向上させる能力です。
- 敏量化のための基準を確立する。あなたがもたらすと約束する価値は、合理的に感じられるように数量化する必要があります。計測値をしっかりと作れば作るほど、まともなアーキテクチャーは大きな効果を生むという。あなたの立場は強くなります。基準を早く確立すればするほど、アーキテクチャーの売り込みにとって有利なように関係者の認識をコントロールしやすくなります。
- 伝統的なビジネスの尺度とのリンクを作る。技術的な分析を金額の数字に変換できれば理想的です。結局のところ、伝統的なビジネスの尺度として一貫して使われているのは金額だけです。企業財務的な数字の扱いに不安があるなら、パートナーになってくれるビジネス・アナリストを見つけるとよいでしょう。
- 止まるべき場所を知る。どこで止まるべきかを判断するためには、1つ1つのマイルストーンをビジネス上の価値に直接結びつけ、ビジョンが見えるロードマップを準備する必要があります。実際にどこで止まるかは、利害関係者に決めさせましょう。個々のマイルストーンのビジネス価値が大きければ、継続的に資金が得られる可能性が高くなります。
- 適切なタイミングを探す。ここまでの4段階に従って強固なビジネスケースを作っても、タイミングが悪ければアイデアをうまく売り込めないことがあります。私の提案でも、長い間承認が得られないものがありました。承認されたのは、アーキテクチャー設計のまずさのために他のプロジェクトが大失敗に終わった直後だったのです。タイミングはうまく選ばなければなりません。